40年の歩み

第2章
1992年(平成4)─ 2001年(平成13)

未来を担う学生たちへの支援を強化—国際留学生や学生ベンチャーへ助成

国際留学生への奨学事業を実施

1992年12月には、設立10周年記念として式典とファミリーコンサートを開催。記念誌「上月教育財団 10年のあゆみ」を刊行した。

設立10周年記念式典
設立10周年記念式典(1992年12月12日)
設立10周年記念「ファミリーコンサート」
設立10周年記念「ファミリーコンサート」(出演:由紀さおり、1992年12月12日)
設立10周年記念誌
設立10周年記念誌「上月教育財団 10年のあゆみ」

「これからの日本で大事なのは人を育てること」。上月景正理事長の言葉どおり、上月教育財団は設立時から、日本の教育環境の向上と将来を担う若者を支援する事業に力を入れてきた。

そうした活動を継続させるなかで、新たに取り組んだのが学生への奨学助成事業である。それまでの「育英奨学事業」「修学助成事業」という奨学助成に加え、1992年から「外国人留学生奨学事業」(後に「国際留学生奨学事業」に改称)を新たに加えた。学習意欲と志の高い留学生に奨学金を助成する制度で、経済的理由により学習継続が困難になった留学生に修学を促し、国際化が進むなかで世界と日本をつなぐ人材に育ってもらいたいという願いを込めた。誠実で、帰国後も母国の発展に貢献できる人物という基準も設けた。

初年度は4名、開始時はアジア地域の私費留学生のみを対象としたこともあり、中国や韓国など近隣諸国の留学生が多くを占めた。後にはネパールやコロンビアなどからの留学生も受給対象に選んでいる。2004年度までに延べ233名の留学生に助成した。

日本と世界の架け橋となる人材の育成支援

勉学のために来日したにもかかわらず、経済的に困窮して良好な学習環境が確保できない海外からの留学生にとって奨学金支援の持つ意味は大きい。

神戸大学大学院を修了した1996年度の奨学生は、「夢を持って日本へやってきた留学生にとって、経済的苦労は言葉や文化の壁とは違った意味で大きな負担になる。1995年の阪神・淡路大震災で被災し、住居費や生活費に困窮していたところを奨学生に選ばれたことで、勉学、研究に専念することができた」と、安定した学生生活に大きく寄与したと語る。

また、留学生と日本の奨学生との「奨学生交流会」も毎年開催し、大学を卒業して社会人として活躍しているOB、OGが一堂に会してお互いの教養を深め、親睦を図ることは、有意義なコミュニケーションの場となった。

1993年からは「国際文化交流活動」として、兵庫県教育委員会主催の文化財国際交流事業などの支援も行った。

第1回「上月情報教育賞」大会
兵庫県社会賞を受賞(1992年11月3日)
第1回「上月情報教育賞」大会
第1回「上月情報教育賞」大会(1993年8月27日)

保護者を亡くした遺児の就学をサポート

1998年から「遺児奨学事業」を立ち上げた。保護者を病気や交通事故、災害などで亡くした遺児が、安心して学べるよう修学の機会を確保してもらうためのもので、対象は大学生からスタートし、高校生、中学生、小学生、幼稚園児と広げて延べ850名に給付した。

遺児奨学生の母親からのお手紙
遺児奨学生の母親からのお手紙(2001年11月)

次世代を担う学生ベンチャーを支援

1999年度には、「学生ベンチャー支援事業」を開始した。起業家を志す学生を対象にビジネスプランを募集し、明日につながるチャレンジを支援しようという制度である。

第1回「学生べンチャー支援事業」発表会
第1回「学生べンチャー支援事業」発表会(1999年11月13日)

学生から提出されたビジネスプランを審査するのは学識経験者ら8名の委員で、審査委員長には神戸大学大学院の加護野忠男教授が就任した。書類選考を通過した学生が選考発表大会でプレゼンテーションし、厳正な審査を経て選ばれた学生に助成金を給付する。また、見聞を広めて視野を広く持ってもらうために海外研修を実施した。

「学生ベンチャー支援事業」海外研修
「学生ベンチャー支援事業」海外研修(ワシントン州立大学)

初年度には数多くの応募者のなかから4名を優秀賞、5名を努力賞に認定。「次世代インターネット広告媒体ビジネスについて」というテーマで優秀賞に選ばれた菅谷俊二氏は、2000年にコンピュータ・ソフトウェア関連の株式会社オプティムを設立。プライム市場上場企業として国内のIoTビジネスをけん引する先進的企業へと成長している。

2001年の受賞者は、「米国コナミ訪問やスタンフォード大学の学生との交流、シリコンバレー工業団地の視察をさせてもらい、充実した研修内容を体験できた。この経験を糧に、必ず自分自身のビジネスを成功させたい」と語っている。

ほかにも支援を受けて実際に起業した事例は数多い。

教育研究助成事業も継続して実施

兵庫県内の学校に勤務する教員を対象に、学校教育にかかわる研究活動を支援する「教員等研修等助成事業」を1995年度まで実施。

学校および教育機関や研究グループに財団のセミナールームを無償で提供する「セミナールーム運営事業」は、事務所を移転する2001年度までの間に、利用者数は延べ2万7,400名にのぼった。

そのほか、1986年度から1999年度まで行った「教育ゼミ助成事業」では、全県教育委員研修会や全県教育長研修会などの開催をサポートした。

教育・文化活動事業も、「ひょうご文化活動」「地域文化活動」「国際文化交流活動」を継続実施し、1998年度からは3年間にわたって「21世紀大学講座」を開催した。西宮市長や文化人を講師に、21世紀の地球と日本の在り方をテーマに貴重な提言がなされ、多くの方が受講した。

第4回21世紀大学講座
第4回21世紀大学講座(講師:柳田邦男、2001年3月23日)

上月情報教育財団設立

2000年3月、新たに「財団法人 上月情報教育財団」の設立が文部省(当時)から許可された。東京都港区赤坂に事務局を開設するとともに、上月教育財団より「上月情報教育振興助成等事業」を継承し、兵庫県だけでなく全国規模での事業を展開することとした。

2001年には、上月教育財団の理事長に常務理事の上月洋子が就任した。

※本サイトは、2022年に上月財団が設立40周年を迎えるにあたり記念事業の一環として刊行した記念誌をWeb化したものです。