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株式会社オプティム 代表取締役社長 菅谷俊二

支援がなければ今のオプティムはなかった

菅谷俊二

取材中笑顔を絶やさず、何度も周囲への感謝を口にした株式会社オプティム代表取締役社長の菅谷俊二。東証プライム市場上場企業の代表でありながら、飾らずユーモアにあふれた人柄に、話していると誰もが惹き込まれるはずだ。

1999年、上月財団は「学生ベンチャー支援事業」を開始。第一回の優秀賞に選ばれたのが、佐賀大学在学中の菅谷だった。
「当時の僕はコンテストなどを毛嫌いしていたのですが、調べたらコナミの創業者でいらっしゃる上月景正会長が設立された財団だとわかって。コナミのゲームを夢中になって遊んでいた僕にとっては憧れの存在。『コナミの方にお会いできる』と応募をしました」

受賞者には1年間、毎月20万円が支援された。菅谷は助成金を佐賀から東京への営業活動の際の交通費などに充てたという。
「1年間お金の心配をしなくて済むことになり、大学を休学して事業を立ち上げる決心がつきましたから、支援がなければ今のオプティムはなかったでしょう。昔も今も出資話などはよくありますが、返済不要というのはなかなかありません。大きな心でご支援いただいたのは本当に感謝しています」

だが菅谷にとって助成金以上に意義深かったのが、受賞者が招待されたシリコンバレーへの海外研修会だった。学生の視野や見聞を広める目的で行われたこの研修会では、インテルやコナミの現地法人、ベンチャー企業などを訪問した。
「毎晩、引率していただいた先生方とディナーの席でディスカッションをさせていただいたのもよい経験になりました。当時私はまだ学生でしたから、引き出しが全然ないわけです。同じ話を聞いても、ビジネスではこういう観点で見るんだとすごく勉強になりましたし、一気に視野が広がった実感がありました」

引率者の一人に現在、コナミグループ株式会社で代表取締役社長を務める東尾公彦がいた。東尾とは海外研修会が縁で、20年以上が経った今でも公私ともに交流があるという。
「学生だった私にも気さくにいろいろなことを教えていただいて、今でも事業のことで相談に乗っていただくこともあります。貴重な出会いをいただけて、僕はこれをサンフランシスコの奇跡と呼びたいですね(笑)」

オプティムでは「○○×IT」をスローガンに、医療、建築、土木などの産業をIT化。最近では農業分野に着目する。AIで害虫被害を可視化し、ドローンで効率的な農薬散布を行うことで、農薬使用量を99%削減することに成功した。

ITの進化により、急激に世の中が変化する現在。菅谷は「AI・IoTで世界が大きく変化していく時代を、世界レベルの技術を持つスタッフと迎えられるのはすごく楽しい」と語る。新たな分野に挑戦を続ける菅谷の原動力となっているのは、世界の人々の役に立ちたいという思いだ。
「儲かりそうだという観点でビジネスをされる方もいますが、オプティムはそういうタイプではありません。自分たちの人生の貴重な時間を使って仕事をしているわけですから、生涯をかけて情熱を灯せるものであるかが重要で、自分たちにしかできないことで世界によい影響を与えられる企業でありたいと思っています」

起業を目指す若者も多い昨今。菅谷はたとえ失敗したとしても、絶対に起業をしたほうがよいと断言する。
「借金はしないほうがよいですが、会社を起業して仮に潰れたとしても、起業して、苦労して、努力して、何かを目指して集中した時間のほうが充実し、大きな力になるでしょう。苦しい時はもちろんあります。でも好きでもないことで、楽をして儲ける人生よりも、好きな仲間と好きなことを仕事にしている時間のほうが絶対に幸せだと僕は思います」

持ち前の笑顔で、そう未来の起業家へエールを送った。

色紙

※本サイトは、2022年に上月財団が設立40周年を迎えるにあたり記念事業の一環として刊行した記念誌をWeb化したものです。